漫画レビュー

漫画『月曜日の友達』感想:子供から大人になる瞬間

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はじめに

ふとしたきっかけで、とうの昔の記憶が次々とフラッシュバックする瞬間ってないですか。

僕の場合、この作品を読んだ時がまさにそうで、もう中学校に入学したときの事なんて覚えてなかったけれど、漫画のページの先に何度も中学生活の1シーンが見えました

このマンガがすごい!2018オトコ編第4位、『月曜日の友達』。とても素敵な作品だったので、ここで紹介させていただきます。

この作品はこんな人におすすめ

  • 中学時代の思い出に浸りたいひと
  • 美麗なイラストを堪能したいひと
  • 『耳をすませば』が好きなひと

 

『月曜日の友達』のあらすじ

主人公・水谷茜は、中学生になった今も恋愛トークについていけないし、まだまだ野球で遊びたい。自分だけ小学生気分が抜けないまま、周りが大人になっていく姿をみて焦りを感じるようになります。

慣れない学校での一週間が始まる月曜日、自分と違って優秀な姉が毎週家に帰ってくる月曜日。学校にも家にも居場所のない「月曜日」が憂鬱で、水谷は家を飛び出し夜の校舎に向かって走り出しました。

そこにいたのはクラスメイトの月野透。彼もまた訳あって夜の校庭にたたずみ、ひとり大人になれないでいたのです。

やがて二人は「月曜日の夜」だけ、夜の校庭で会うようになって・・・

『月曜日の友達』の魅力って?

ストーリーだけみると、いたって普通の学園モノに思えるかもしれません。しかし、とても詩的で、読者を幻想的な世界に誘ってくれる、そんな作品になっています。その世界を作る魅力としての要素を3つ挙げてみます。

1. まずは、世界観を絶妙に表現したPVから

最近の漫画って、SNSを活用したり、特典をつけてみたり、プロモーションが多様で面白いなぁって思います。

この『月曜日の友達』も例外ではなく、プロモーション用の映像があるんですね。

作者の阿部先生が好きだったamazarashiの秋田さんに、PVのため過去の楽曲提供を依頼したところ、逆に秋田さんの方から書き下ろしの提案があったようなんです。

そのため、歌詞もメロディも作品の内容にマッチしていて、この映像だけでも作品の世界に十分に浸れると思います。観たあとに読み始めると、より深い味わいがあるんじゃないかと!

2. 白黒だけで表現されるカラーイラスト

さあ、ここからは漫画の中身に入っていきましょう!

カラーイラストと書きましたが、表紙以外にカラーがある訳ではありません。ただ、イラスト表現(影の付け方、ベタの塗り方)が特徴的で、まるでそこに色がついているように見えるんです。

実際に、さきほどのPVにもあるワンシーンを見ていただくと、

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(Youtube『amazarashi『月曜日』“Monday” Music Video|マンガ「月曜日の友達」主題歌』より)

人物の下の影によって、上部に街灯があることがわかり、主人公の周りがぼんやりとオレンジ色に光っているように見えませんか。

また、空の色が暗いのに対し、海の色は白。これは月が出ていることの間接的な表現になっています。

この1枚以外にも、たとえば

・夏の雲と青空

・秋の夕暮れ

・校庭に散らばるカラーボール など

すべて黒と白だけで表現されているのに、色づいて見える読んでいてため息が出てしまうような美麗なイラストが、2冊分まるまる詰まっているんです。

3. 中学一年生という絶妙な年齢設定

この作品の醍醐味はやっぱり、中学生が「子供から大人になる瞬間」を切り取ったところにあると思います。

人って「初めてのインパクトの大きい出会い」があったとき、大人になると思うんです。この作品の水谷と月野の出会いは、お互いにとってまさにそれでした。

二人とも、はじめは大人になりたくて悩んでいましたが、出会いやすれ違いを通して、彼らが気づかぬ間にどんどん大人になっていきます。

それから、男女の友情はありえるか?って、よく友達との会話に出てきますよね。僕は、少なくとも中学生の頃なんかは、絶対「ある」と思っていて。というのも、その頃って「好きとかそういうのが、ギリ分かるかわからないか」な、世代じゃないですか。

僕にも中一の時に仲良い女の子がいて、勉強を教えてもらったり、面白い小説や漫画を教わったりしたんですが、その経験が自分の価値形成にかなり影響を与えたように思います。ただ、その頃ってその子を友達として好きだったのか、女の子として好きだったのか、今振り返ってもよく覚えてないんですよね。

それは、友情なのか、恋なのか。そういう絶妙な距離感が、おなじく『月曜日の友達』の主人公の水谷と月野の間にはあります。そのもどかしい感覚を、ぜひ味わっていただきたいと思います。

勝手に関連作品

この作品を読んでて、思い出した作品もあわせてご紹介!

『耳をすませば』

これは作者もインタビューで言及されていましたが、中学生が大人になる、というテーマではもろ共通していますし、「自転車の二人乗り」「坂道」など、『月曜日の友達』に『耳をすませば』のオマージュがいくつか散りばめられています。

『耳をすませば』の甘酸っぱい雰囲気が好きな方は、同じく『月曜日の友達』を好きになってくれるんじゃないかと思います。

『ハイスコアガール』

押切先生の絵のテイストと似ていることもありますが、「幼き頃の甘酸っぱい記憶」というテーマにおいても、近しい作品なんじゃないかと思います。

『ハイスコアガール』も、ゲームにおける懐かしさを感じる良作ですよね!35歳以上の人にどハマりな印象です。

おわりに

ひさしぶりに中学時代を思い出してしまい、少しおセンチな気分です。笑

2巻と短いので、昔の思い出に浸りたい方はぜひ読んでみては!オススメです!

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