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漫画『響~小説家になる方法~』あらすじと感想:麻薬みたいなバトルマンガ

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特にブログをやっている人なんかは「小説家になりたい!」と思ったことが一度や二度はあるでしょう。

僕もその一人で、文字だけで0から世界を構築できる小説家という職業に憧れを抱いた時期もありました。

しかし大人になるにつれ、それがいかに厳しく狭い門なのかを思い知らされます。

「変人・奇人でないと小説家という職業は務まらない。」

もちろんその限りでは無いんでしょうが、普通の人は小説家には向いてないというのは、あながち間違っていないような気もします。

さて、今回ご紹介する『響~小説家になる方法~』ですが、主人公は「想像を絶するほどの奇人」。その奇人っぷりを楽しめる人にとっては、こんなに面白い作品はないでしょう。

「小説家になる方法」とありますが、この作品はある意味「バトル漫画」であり「ギャグ漫画」であることを予めお伝えしておきます。

ちょうど、2018年9月14日に実写映画が公開されますので、その前に原作を読んでみては・・・?

こんな人におすすめの作品です

  • スカッとする作品が好きな人
  • ストレスが溜まっている人
  • かつてクリエイターを志したことがある人

作品情報

作品名 響~小説家になる方法~
著者 柳本光晴
ジャンル 小説家サクセス(?)ストーリー
掲載誌 ビッグコミックスペリオール
連載開始 2014年9月
既刊 10巻
受賞歴 マンガ大賞(2017)
メディア化 実写映画(平手友梨奈)

※2019年1月3日時点の情報です

『響~小説家になる方法~』あらすじ

とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。編集部員の花井は、応募条件を満たさず、ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。封を開けると、これまで出会ったことのない革新的な内容の小説であった。作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない・・・

とてつもない文才を持つ新人が登場するところから物語が始まるのですが、その新人こそ主人公の響。映画で欅坂のてち(平手友梨奈)が演じる役どころですね。

そんな響の書く小説がとにかく凄すぎて、どんどん有名になり社会に影響を与えていくというのがストーリーの大筋なのですが、響はとにかく奇人変人で、その変わり様に作中のキャラクターも、はたまた読者すらも振り回されていく、というそんな作品です。

実写映画の予告はこちら。作品の世界観がわかるようになっています。

『響~小説家になる方法~』の魅力

小出しのカタルシス。スカッとしたい方に

「響は奇人」と書きましたが、具体的にどう奇人なのかを簡単に。

とにかく暴力描写が多い!笑。主人公は、小説家で女子高生なのに暴力キャラなのです。何か因縁をつけられたら、相手がコワモテの男だろうが、偉い人間だろうが、容赦なく殴る。

そして、たまに指を折る。真顔で。これが女子高生の行動といえようか!

このクレイジーっぷりが、現実の舞台における非現実さを形成し、妙にワクワクします。作中の大半がこんなシーンばかりなので、もはや「バトルマンガ」にカテゴライズしちゃってもいいんじゃないか?と思うくらいですね。

「カタルシス」という言葉があって、端的にいうと「溜め込んでいたモヤモヤが一気に解消される」という意味なんですが、この作品でいうとそれをちょくちょく感じます。

僕の好きな『ONE PIECE』でたとえると、

「ベラミーという海賊にルフィが数ページに渡って罵倒されたあと、ルフィがベラミーを見開き1ページでKOする」

という、かなりスカッとするシーンがあるんですが、 あんな雰囲気のシーンが何度も出てくるので、ストレスが溜まっている人には良い作品かもしれません。

主人公だけじゃない。ぶっ壊れたキャラクター

こうも色々な漫画を読んでいると「印象が全く残らない作品」も結構あったりして。

そういう作品って、ストーリーよりもキャラクターに個性がない場合が多い気がします。

それでいうと、この作品は逆のパターン。「響」というめちゃクセキャラクターがいるので、それだけで圧倒的なインパクトなんですが、

よくよくみると周りを固めるキャラクターも変人が多くて楽しいです。

僕が一番好きなのが、響の幼馴染であるイケメン「椿涼太郎」

響を幼馴染として支えるキャラクターとして描かれているんですが、その支え方が猟奇的でして。

たとえば、響の行く先々で最後に必ずふらっと登場するんですよ。その描写が続くとなんだかホラーに見えてきて・・・。

1話を読み返すと、会話の節々に既にヤバさを感じる部分があって、最初からこういうキャラの方向性として決まっていたことがわかります。よく考えられているなぁと感心します。

天才の影に潜む凡人たちの物語

さて、これまでの内容だと本当に刺激的な、麻薬のような作品ということで終始していまうのですが、グッとくる描写ももちろんあるんです。

普通、物語の主人公とは別に「天才キャラ」がいて、その対比で主人公が輝くというのが、よくある物語のセオリーなのですが、

この作品に関しては、主人公の響があまりにも天才キャラなので、それ以外に小説家を目指すキャラクター全員が、凡人としての対比キャラとして描かれているんですね。

全員が全員、響に対してコンプレックスを持っています。

なかには、響との出会いを機に小説家を辞めるキャラクターもいますし、逆に響になんとか追いつこうと、食らいつくキャラクターもいる。

中には、自分の姿と照らし合わせることのできるキャラクターもいるのではないでしょうか。

こういった主人公以外のキャラクターの奮闘する姿こそが、この作品のグッとくるポイントであり、多くのクリエイター志望の人々の応援歌になっているような気がするのです。

そういう意味では「響以外が主人公」とも捉えられる作品なのかもしれません。

多くの人は天才にはなれない。でも、諦めなければ小説家にだって、何者にだってなれる。

この作品はまだ未完ですが、そんなオチになってくれればいいなぁと。全てのクリエイターが報われるオチになってくれればいいなぁと、思います。

関連作品〜ジョブズの生涯〜

忖度一切無しに、主義主張をぶつける。響の姿を見ていると、スティーブ・ジョブズの生き方を想起してしまうのは僕だけではないはず。

ジョブズもまた、理不尽な理由で人をすぐクビにしたり、報酬やアイデアを横取りしたりと、ある意味響よりタチの悪い性格ということで有名ですが、多くの人を魅了するカリスマであったのも事実。

『響~小説家になる方法~』もそうですが「天才の奇想天外エピソード」は、忘れた頃にもう一度読みたくなるものです。

ということでスティーブ・ジョブズが如何に天才で、如何に奇人変人だったかがわかる作品をご紹介します。

スティーブズ

その名のとおり、スティーブ・ジョブズの生涯を描いた漫画です。残念ながらジョブズの死までを描いている訳ではなく、マッキントッシュ誕生くらいまでのお話。

バトル漫画テイストで、実際のアツい展開をさらにアツく描いていて、同じくヤマザキマリ先生がジョブズの漫画を描いてるんですが、こちらの方がより「グッとくる」作品になっています。

奇しくも、響と同じスペリオールで連載していた作品なので、やはり雰囲気は似ているものを感じます。

スティーブ・ジョブズ

漫画ではないですが、これさえ読めばジョブズの生涯や考え方が全てわかる「伝記」のようなものですね。

当時発売日に買って、夢中で一気に読んでしまったのを思い出します。

Small Fry

先日アメリカで発売されたばかりで、まだ日本語版が出ていない本作。ジョブズの娘さん「リサ」による自叙伝。

これまで語られることのなかった「娘から見たジョブズ」について、せきららに触れられているようで、とっても楽しみにしている一作。

家族という立場からみた「天才」は、果たしてどのような存在だったのでしょうか。

おわりに

『響~小説家になる方法~』を題材にしながら、最後はスティーブ・ジョブズについても触れましたが「天才の行動」って、フィクションであれノンフィクションであれ、予測不能なので面白いなと思います。

ところで、こういった「天才」を「努力キャラ」がコテンパンに打ち負かすような作品って、実はそんなにないんじゃないかな?とふと思いました。もし、そういう作品があったら読んでみたいですね。

では、今日はこんなところで!

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