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はじめに
ユート・クライフです。最近『君たちはどう生きるか』という漫画が話題になってますよね・・・。
1937年に出版された同名小説のリメイク漫画で「自分を見つめ直すことができる作品」として、250万部を超えるベストセラーとなりました。「子供に読ませたい」という声がとても多いそうですね・・・。
僕も読んでみて、確かに息子に読んでほしいとは思いました。
ただ、もっと読んでほしい作品に出会ってしまった。それが、『最強伝説 黒沢』・・・!
この作品はこんな人におすすめ
- 自分に自信がなかなか持てない人
- 何者にもなれない自分にイラついている人
- 『君たちはどう生きるか』に感銘を受けた人
『最強伝説 黒沢』のあらすじ
本作は『カイジ』や『アカギ』でおなじみ、福本伸行先生の作品。めずらしくギャンブル漫画ではありません。おおまかなストーリーは以下の通り。
毎日の目標もなく、ただ毎日を過ごしていた土木作業員「黒沢」。地味な毎日を過ごしている中で「自分の生き方は本当にこれで良いのだろうか」と感じるようになります。
44歳の誕生日、誰からも祝われることなく1日を終えてしまった黒澤は「人望がほしい」と強く思うように。それから、その望みを叶えるために色々な行動を起こすのですが、全てが空回りして逆にどんどん人が離れていきます。
そんな中、ある出来事をきっかけに次々と修羅場に巻き込まれる黒沢ですが・・・
『最強伝説 黒沢』の魅力って?
1巻の黒沢は、正直見てて目も当てられない状況。友人と呼べるのが、工事現場の人形しかいません。おまけに人望を得ようとして、同僚全員の弁当にこっそりアジフライを追加で仕込む、という気持ち悪い発想も。読んでてもモヤモヤするし、これは「1巻で挫折かなぁ・・・」とも思っていました。
しかし、話が進むごとに黒沢がどんどん魅力のあるおじさんへと成長していくのです。
1. 溢れ出る人間味。こんな主人公いる?
物語が序盤を超えたあたりから、何度か学生と黒沢が対決するシーンがあります。
中でもひとつ衝撃的な対決があって、拳だけで戦う学生に対して、黒沢は完全武装で武器を持って臨むのです。普通逆じゃない?
よく、漫画とかで「拳だけの主人公が、武器を持った不良を倒す」という光景をよく見ます。でも黒沢は勝つために手段を選びません。若くて体力のある学生に対して、圧倒的な勝利を得るために、武器を取らなければならないのです。
もちろん、ここで描かれている学生は「悪」。そんな悪を懲らしめるために、黒沢は美学にこだわらず、勝ちそのものにこだわろうとします。カタチはどうあれ、読者目線で見ても応援したくなる主人公。その生き様が、カッコいい。
2. 君たちはどう生きるか。黒沢が、我々に問いかける。
福本先生のアツい台詞回しも相まって、黒沢のセリフは心にズシンと響きます。
中でも響いたセリフをここで紹介させてください。
人間は人間を・・・
何があろうと・・・
踏みにじっちゃダメ・・・!
そりゃあ・・・おまえらはバカだから・・・
人を軽んじたり・・・甘く見たり・・・
要するに・・・見下す・・・!
なんの検証もなく・・・あっさり人を見下す・・・!
いや・・・実は・・・それはおまえらに限らない・・・
けっこう誰でもしてる・・・それくらいは・・・
心の中で・・・!
が・・・止まれ!そこで止まれ・・・!
同じ人間なんだよっ・・・!おまえもオレも・・・!
(『最強伝説 黒沢』9巻より)
オレ達は誇りうる・・・
物語がある・・・!
ガキの頃から・・・
何度も言われてきたはずだ・・・!
男だろ・・・って・・・!
困ってる人・・・力のない人たちを・・・見捨てんな・・・!
(『最強伝説 黒沢』10巻より)
闘わなきゃ・・・・
この世に生まれてきたら・・・・
とてもかなわぬ・・・
かなわなかろう・・・と思っても・・・・
闘うんだ・・・!
尊厳のため・・・!胸を張って生きるために・・・!
(『最強伝説 黒沢』11巻より)
「・・・」のクセがすごい!!
でも言ってる事はとても素敵!
僕らは何者でもないかもしれない。でもみんな同じ人間で、誰しもがもっと自分を誇っていいハズなんだ。だから、僕らはそれぞれの戦い方で戦うべきなんだ。
つまりこの作品のメッセージって、実は『君たちはどう生きるか』と一緒なんですよ。そう、44歳になってこの境地に達した黒沢は「遅すぎたコペル君*」でもあるのです。
(*コペル君=君たちはどう生きるかの主人公)
人生をまっとうするために、どう生きるべきなのか。1巻を読んだ段階では、まさかこの作品がそんなことを教えてくれるとは思っていませんでした。
【小話】僕が昔描いてたマンガ
『最強伝説 黒沢』をはじめとして、僕は「さえないおじさんが活躍する作品」が好きだったりするんですが、それを物語ってるのが、僕が中学生の描いたマンガです。
ちょうど、過去に撮った写真がありました。紙でコミックスっぽく作ってる感じがまたいいですね。

タイトルはズバリ、『漢(おとこ)』
実家にあるので細かく覚えてないんですが、たしか会社をリストラされた主人公(右上のおじさん)が「ワキガ神拳」という体臭で敵を倒す武道に目覚め、仲間達(全員おじさん)と共に世界を救うというお話です。
中学生にして「リストラされた主人公が〜」という設定でマンガを描いてるのが渋すぎますね。あの頃はバカで楽しかったなぁと改めて思いました。
今はマンガなんてとてもじゃないけど描けないですが、少なくともバカで楽しい毎日は送りたいと思います。
勝手に関連作品 〜さえないおじさんが大活躍〜
さえないおじさんが主人公の作品で、『最強伝説 黒沢』とはまた違った衝撃を受けたのが「キングオブコメディ」
有名人になりたい!と思った冴えないおじさんが、コメディアンを目指すというストーリーなのですが、行動がサイコパスで常軌を逸してます。ロバート・デ・ニーロの演技も不気味で、「冴えないおじさん」と「何をしでかすか分からないおじさん」を見事に演じています。黒沢とは全然違うタイプの作品ですが、見ごたえのある映画です。
さいごに
『最強伝説 黒沢』って最後は打ち切りだったみたいですね。でも福本先生が続編を熱望されて、満を持して新しく始まったのが『新黒沢 最強伝説』という作品(連載中)。こちらはまだ読んでないので、いずれ読んでみたいと思います。
『君たちはどう生きるか』も素晴らしいですが、こういったマンガからも同じくらい深い気付きがあるんだなぁと、改めて感じました。