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はじめに
この漫画については、正直書く気なかったんですが、「第22回手塚治虫文化賞」に見事ノミネートされたと言うことで、筆をとってみます。
なぜ、書く気がなかったか。
『先生の白い嘘』は高校を舞台に、生々しい表現を交えながら「男と女の性の不平等」を描いている作品なんですが、僕は男子校出身なので、当時は「男と女の性」に全く無縁だったと言うか、リアリティを感じながら作品を読むことができないのです・・・
【小話】高校時代、全ての女性は神だった
当時、僕は埼玉のとある男子校に通っていたんですが、男子校ってホントに女性と話す機会がないんですよ。話すとしても、家庭科のおばあちゃん先生くらい。
それゆえ、女性と会話するのがめちゃめちゃ緊張するんですよね・・・
一時は、緊張でコンビニの女性定員のレジに並ぶことすらできなくなった。今思うと異常ですけど、それくらい女性を会話する機会がなかったんです。次第に、僕の中で女性は神格化され、崇める対象に・・・!
ただ、「話せない」と「彼女欲しくない」は別で、モテたいと言う思いは人一倍ありました。
僕が所属していた吹奏楽部では、「定期演奏会」を年に数回行なってたんですが、それが数少ない女子高生にアピールできるチャンスの場でした。(吹奏楽は女性人口が多いので、来場者が女子高生ばっかり)
なんとかしてモテたいと思った僕は、向こうから話しかけてもらえるよう「見た目で目立とうと」思いました。そして、生まれて初めて茶髪にしたのです。
ただ、天パを茶髪にするのは大きな間違いだった・・・
意気揚々と人生初茶髪を、部活のメンバーに披露した時に言われた一言。
「お前それ、亀の子タワシみたいだな」
スチールウールっぽかったチリチリな髪質のせいで、茶色にすると誰がどう見てもタワシのような形状に。
(こんな感じ)
もちろん、タワシが女子高生に声をかけられることはありませんでした・・・
【まとめ】この作品は、こんな人におすすめ
- 『きみが心に棲みついた』にハマってる人
- 夜中に「怖い画像」とかでついつい検索しちゃう人
- 短時間でサクッと読める漫画を探している人
『先生の白い嘘』あらすじ
はい、本題に入りましょう。『先生の白い嘘』はこんなエピソードです。
大学時代、男性経験もないのに、親友の彼氏に襲われてしまって以来、秘密の関係を強要されている25歳の高校教師・美鈴。優しい人だと思っていたバイト先の店長の妻に、ラブホテルに連れ込まれ逆レイプを受けて以来、女性の身体が怖くてたまらない男子高生・新妻。二人を中心に性と暴力、そして愛のなんたるかを抉り出す作品。
(ダヴィンチ・ニュースより)
もう、あらすじからわかるように、なかなかエグイです。
30歳になっても、普段うんこ鼻くそでキャッキャしてる僕にとっては、かなり刺激的な作品でした。
『先生の白い嘘』の魅力って?
1.登場人物のクセがすごい
個性的と言うか、クセがすごい登場人物だらけです。全員共感できない!
- 親友の婚約者にレイプされた後も、中々その関係を解消できない主人公
- バイト先のババアに逆レイプされて以降、EDになってしまった男子高生
- 虚言癖がすぎる主人公の親友(内心主人公を見下している)
- 友人の相談に乗るふりして、裏でマインドコントロールしようと画策する女子高生
- それを壁の穴から見守る兄
などなど。
共感できないんですが、その共感の出来なさ故に、物語の構成や展開の妙が際立ち、作品を面白くしています。
2.ファンタジーの中にあるリアル
高校時代、性とか暴力に全く無縁だった僕からすると、基本ファンタジーな内容なんです。ただ、登場人物の心理描写がものすごく丁寧で、ある瞬間に急にリアリティを感じる瞬間があります。
これがゾッとする。
3.怖いもの見たさでグイグイ読んでしまう
あらすじの通り、目を覆いたくなるシーンも沢山あるのですが、それでもどんどん読んでしまう。ちょうど、怖いもの見たさで真夜中に「怖い画像」ばっか検索してしまう、あんな感覚に似ているような気がします。
勝手に関連作品
漫画を読みながら思ったのは、ドラマ『君が心に棲みついた』にちょっと似ているなぁと。
このドラマも、全然登場人物たちに共感できない&見たくないのについつい見ちゃう。系の作品だと思うんです。なので、このドラマ好きな人はハマれる作品だと思います!
純文学な雰囲気もあるので「手塚治虫漫画賞」受賞の可能性も大いにあるのでは?
気になった方はぜひ読んで見てください!