漫画レビュー

漫画『水曜日のシネマ』感想と登場する映画全作品

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はじめに

毎巻楽しみに読んでいた漫画『水曜日のシネマ』の完結巻が発売されてしまった。好きだった作品が終わってしまうと、どうしても寂しくなってしまう。

最近は『おやすみシェヘラザード』や『木根さんの1人でキネマ』など、実在の映画を軸に展開する漫画が多くなってきたけれど、この『水曜日のシネマ』こそ、そういった類の中で、もっとも万人におすすめしたくなる作品だった。

主人公・藤田奈緒は映画のことを全く知らずに、レンタルビデオ店でアルバイトする女子大学生。その奈緒と、レンタルショップの映画好き店長・奥田一平が毎週水曜日に店の控え室で映画を観る、っていうストーリー。

最初は店長とアルバイトの関係から、徐々にお互いがお互いを意識するようになって・・・という王道展開。これがまたなんとも清々しい気持ちにさせてくれるのである。

こんな人におすすめの作品です

  • 映画好きな人
  • とりあえず「これ観とけば間違いない」という映画を知りたい人
  • 歳の差恋愛漫画が好きな人

 

作品情報

作品名 水曜日のシネマ
著者 野原多央
ジャンル 映画×歳の差カップル
掲載誌 コミックDAYS
連載開始 2018年5月
既刊 5巻(完結)
受賞歴
メディア化
1話が読めるところ https://comic-days.com/episode/10834108156629722348

※2019年9月15日時点の情報です

『水曜日のシネマ』あらすじ

初めての一人暮らし、初めてのアルバイト、初めての恋愛――映画をあまり知らない大学1年生の藤田奈緒(18歳)は、バイト先のレンタルビデオ店店長・奥田一平(42歳)におすすめの作品を教わる。一緒に観ていくうちに、徐々に縮まる心の距離。彼が教えてくれたのは映画鑑賞の面白さと初めての恋。

初めはソリの合わないように見えた二人が、映画を通じて惹かれあっていく超ピュアラブストーリー。

あらすじで初めて気づく、24歳差という事実(!!)。でもそんなの気にならない!清々しい恋愛がそこにある!

『水曜日のシネマ』の感想

気持ち悪くない歳の差カップル

歳の差の恋愛と言えば、最近だと真っ先に思いつくのが『恋は雨上がりのように』。こちらは、大泉洋と小松菜奈で実写映画化したのも記憶に新しいが、『水曜日のシネマ』はそこまで知名度はない。

ただ、24歳という歳の差があるものの、『水曜日のシネマ』の方が恋愛的に「ありえそう」と思ってしまうのは、店長が結構イケメンだから。

もちろんセオリー通り、どことなく頼りないオッサンなのだけれど、映画の話をする瞬間、目が竹野内豊のそれになり、夢を語るイケオジのごとく、めちゃくちゃかっこよくなってしまうのである。たしかに、18歳の女の子がメロメロになっちゃうのも頷ける気がする。(というところまで含めて、男目線の感覚なのかもしれませんが・・・)

そんな映画好きイケオジ店長がかっこいいなぁと思った瞬間が、1巻の初めて二人で映画を観にいくシーン。

「映画館のどの位置に座るか」という持論を店長がアツく語るシーンで、店長は必ず一番後ろの真ん中に座るらしい。彼はこんな風に主人公の奈緒ちゃんに語る。

好きなんだよね。映画が始まる瞬間を見るの。その席はそれを一番実感できるから。ほら、よく耳を済ましてみて。席へ座るとみんなが映画を待ってる。待ちきれずにおしゃべりするカップル。ポップコーンを頬張る音。音が少し気になるかもな。みんなそれぞれの世界で自由に過ごしてる。

だが、照明が落ちた瞬間、館内はシンと静まりかえる。それは恋人だって友人だって入り込めない映画の世界。

なんだか特別なことが始まる気がしない?

いやイケメンすぎるよ!こんなセリフがすらっといえるオジさんになりたい。案の定、隣に座る奈緒ちゃんは「私の席はいつも店長の隣がいいです。好きです。」とかぽろっと言っちゃうし。

実は僕も映画を観るときは極力一番後ろのど真ん中をとるようにしていて、それは観客のリアクションを俯瞰してみたい(観客のリアクションも含めて映画の体験だと思っているから)からなんですが、こんな風には絶対アツく語れないと思う。そんな風に、男が憧れるイケメン臭を、どことなくこの店長から感じてしまう。

押し付けないけど映画愛にあふれる、そのバランス感覚

この作品は、あくまで何も映画を知らない主人公が、映画の素晴らしさを知っていく、というストーリーラインである。なので、登場する映画も、実は王道とよばれるものばかりである。いい意味で、映画うんちくは控えめで嫌味を感じない。

それでいて、随所随所に感じる作者の映画愛は映画好きとしては嬉しい。最初に取り上げる作品が『ニューシネマパラダイス』なのも良い。表紙の装丁も、どことなく「映画のポスター」のような雰囲気で愛着が持てる。

最近『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』という、映画愛に溢れる最高の作品を観てしまったので、どうしてもこういった「映画万歳!映画最高!」という作品に肩入れしてしまう。特に、冒頭の店長のセリフがすごく良くて

自分の知らない世界にいけるし、お姫様にだって、元CIAのヒットマンになれる。何かに気づかされたり、背中を押してもらったり。映画は人生を豊かにしてくれる、いいモンだよ

うーん!イケメン!好き!思ってること全部言ってくれてる。

要はこの店長が、僕が映画に対して思ってることを全部代弁してくれているってこと。だからこの作品がこんなにも好きなのかもしれない。

映画はだいたい90分〜3時間という時間的なルールの中で、何万通りの感動を与えてくれる。そこには演者はもちろん、何百人というスタッフが関わっていて、1シーン1シーンに本気が詰まっている。この本気を受け止めることができるのは、数あるエンタメの中で映画が最高峰だと思う。だからこそ、本気に触れることのできる映画というエンタメは、人生を豊かにしてくれる。

そのことに気づかせてくれる作品が『水曜日のシネマ』。映画好きの人にも、映画に興味があるけど、何から観ていいかわからない人にも、多くの人に読んでほしい作品である。

『水曜日のシネマ』に登場する全映画紹介

ということで、劇中「エピソードに関連づけられてちゃんと紹介された作品」をここで紹介。

映画を知らない主人公が映画を好きになるまでの話なので、基本名作ばかり。つまり、これさえ観ておけば「映画好き」を名乗れるということだ。

ちなみに、僕は10作品ほど観てなかったので、まだまだ「映画好き」は名乗れないのかもしれない…

ニューシネマパラダイス

正直僕も一番好きな映画かもしれない(新婚旅行ではロケ地に行った)。本作でも最初と最後に登場し、作者の思い入れのある作品ということが伺える。この記事を書くために最後の方を再鑑賞したが、案の定泣いた。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

本作では1と3が登場。僕も大好きな映画なのだが、嫁さんが観たことないらしい。「えー羨ましい!俺も記憶消してもう一回観たい!」と言ったら、本作で店長がおんなじことを言っていた。

レオン

すごく昔に観たのであんまり記憶がないが、確かに名作だったのは覚えている。(あとナタリーポートマンが超美人)。昔友人に「ジャンレノがヘリコプターで追っかけてくるやつつだよね?」と聞いたら、それは「ミッションインポッシブル」だったことが判明したくらい、記憶が曖昧。

E.T.

これも相当昔に観たので(小学生くらい?)、ほぼストーリーを覚えていないが、幼心に感動した記憶はある。指と指のところで。

フォレスト・ガンプ

一時期狂ったようにトム・ハンクスにハマっていた時期がありその時に鑑賞。「人生はチョコレートの箱のようなもの。 開けてみるまで中身はわからない。」というセリフはあまりにも有名。これ観ただけで明日から世界がポジティブになる魔法のような作品。

バタフライエフェクト

いわゆる「過去に戻って人生やり直す映画」。どんどんあらぬ方向に未来が変わっていく様のドキドキワクワク感がすごい。(でもオチをあんまり覚えてない…)

シザーハンズ

もちろん知ってるけど、いままで機会がなく観たことない作品その1。ティムバートン映画にそこまでハマれないのですが、泣けるらしいのでいつか観てみたい。

(500)日のサマー

ヒロインのサマーに共感できるかどうかで、おおきく評価が変わるであろう作品。僕はあんまり共感できませんでした。

雨に唄えば

1952年の名作映画。まだ観てないけれど、ミュージカル映画の金字塔ということなので、いつかは観ねば…とは思っている作品

最強のふたり

「好きな映画」として挙げている人が多い印象の作品。観なければ!なんとなく『最高の人生の見つけ方』と被る。

リング

当時まだ小学生で、めちゃくちゃビビりながら観た記憶が・・・。今Blue-Rayで観たら怖さが半減しそうな作品。

パフューム ある人殺しの物語

『水曜日のシネマ』で初めてでてきた知らない作品。サイコパスが人を殺し、その香りの香水を作る。それを繰り返すこのポリリズム、的な話らしく、単純に面白そう。

ラヂオの時間

僕が一番好きな三谷幸喜作品。『カメラを止めるな!』が面白いと思った人には絶対観て欲しい作品。『カメラを止めるな!』は微妙、と思った人も、この作品なら満足できるかも。

博士と彼女のセオリー

2018年に亡くなった物理学者・ホーキンス博士を題材にした作品。彼が亡くなった今だからこそ、観てみたいかも。

百円の恋

100円ショップに働きながらボクサーに成るという、まんぷくとは全然ちがった印象の安藤サクラが主人公。これも観たいリストに入ってるけど、まだ観れていない作品。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲

めちゃめちゃ泣けるクレヨンしんちゃん映画の金字塔。でもこれで泣けるということは自分が完全に大人になってしまった、ということなのでちょっと複雑。

インターステラー

店長はクリストファーノーラン監督の映画が好きらしく、なかでもこの『インターステラー』が好きらしい。僕もノーラン作品好きですが、やっぱり『ダークナイト』が好き。あと『インセプション』。あ、『メメント』も好き。

きっと、うまくいく

一時期流行ったインド映画。長い映画ですが、良いシーンが何度もあって結果泣いてしまうという。インド映画の可能性と底力を見せてくれる作品。僕は『バーフバリ』よりこっちの方が好き。

ラブ・アクチュアリー

『ウォーキング・デッド』のリックがありえないほど爽やかな青年として登場し、そのギャップに笑ってしまうクリスマス恋愛映画。部屋でデートしながら観る映画としてオススメしたい作品。

恋愛小説家

実は存在すら知らなかった作品なのですが、ジャックニコルソンが主演と聞いて俄然観たくなってしまった。偏屈小説家の恋愛のお話。

プロジェクトA

映画好きの先輩から「ぜったい観てちょ!」と言われていたのにも関わらず観てなかった1作。ジャッキーチェンの代表作として観る価値はあると思うので、あんまり頭を使わないで映画を観たいときにチョイスしてみようかしら。

舐める女

物語のラスト直前で唐突に投入されるピンク映画の題材。そのエピソードで紹介されていたのがこの『舐める女』。今までピンク映画というジャンルを知らなかったので、まさに「知らない世界」だったのですが、このエピソードを読むとちょっと観たくなってしまうのだから不思議。

リベリオン

この作品も全く知らず。そこまで著名じゃないような気もするが、後のアクションに色々影響を与えた作品らしい。

おわりに

これを書いていると、早くも映画が観たくなってしまった(明日が休日ならなぁ…)。

きっと映画は死ぬまで趣味な気がしていて、これからも沢山の映画に出会えることを考えるだけで、毎日が何倍も楽しくなってくる。

みなさんも、ぜひ映画を!そして、そんな映画の素晴らしさに改めて気づかせてくれる、この『水曜日のシネマ』を読んでみてください。

(吉岡里帆でドラマ化しないかなー!権利的に超ハードル高そうだけど)

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